和食において大切なものに「出汁(ダシ)」があります。
蕎麦も和食のひとつで、「出汁」は大切です。
その大切な「出汁」に使われる鰹節(かつおぶし)についてです。
鰹節(かつおぶし)とは?
簡単に言うと、鰹(かつお)を茹でて感想させた物です。
もの凄く簡単に書いてしまいました。
実際にはもっと複雑で手間のかかる大変な作業ばかりです。
鰹(かつお)が鰹節になるまで
1.生切り(なまぎり)
2.籠立て(かごたて)
3.煮熟(しゃじゅく)
4.骨抜き(ほねぬき)
5.焙乾(ばいかん)※荒節です
6.削り(けずり)
7.カビ付け
1.生切り(なまぎり)
鰹を3枚におろし、さらに背と腹の部分に分けます。
2.籠立て(かごたて)
「生切り」された鰹を金属製の籠に並べます。
丁寧に並べないと良い形にはなりません。
3.煮熟(しゃじゅく)
「籠立て」された籠を90℃のお湯で煮ます。
長いと2時間もの長時間煮てタンパク質を完全に
熱凝固させます。
4.骨抜き(ほねぬき)
「煮熟」がすんだら水につけ冷まして
骨を抜き、皮をはぎとり、余分な脂肪や汚れを取ります。
5.焙乾(ばいかん)※荒節です
「骨抜き」した鰹をまた籠に並べ乾燥させます。
カシ、ナラ、クヌギなどの煙と熱で表面の水分を飛ばし
寝かして再び薫する事を6回~15回繰り返します。
水分は20%以下になり表面には厚くタールがつきます。
6.削り(けずり)
天日で干され、数日寝かした後表面のタールを削ります。
鰹節の形を整えると共に江戸時代はこれが鰹節でした。
現在は裸節(はだかぶし)と言います。
7.カビ付け
江戸時代に偶然見つけられてから始まったカビ付け。
裸節の表面にカビを発生させる作業です。
裸節を数日天日に干し、むろに入れます。
表面にカビがついたら天日で干してカビを取り払う
着いたら干して払うを繰り返します。
このカビ付けの回数で「本枯節」「枯節」に分かれます。
カビのおかげで水分量が下がり(15%以下)その頃には
カビすらつかなくなり、保存食として出来上がります。
これだけで伝わる様に鰹節は作るのが大変です。
カビ付けを5回もする本枯節では当然価格も高くなります。
鰹で出汁を取ると言っても全ての店やみなさんが
本枯節で出汁を取るわけには行きません。
また料理や地域性によって求める出汁の味が違うので
鰹節にも種類があります。
荒節(あらぶし)
カビ付け前の作業
番号6の焙乾が終わった状態の鰹節を言います。
これを削った物が「花がつお」です。
一般的に売られている鰹節はだいたい荒節です。
枯節より乾燥が少なく、薫臭が強いです。
魚っぽいがコクが少ないあっさりとした味わいになります。
作るのには20日前後掛かります。
枯節(かれぶし)
荒節の表面にカビを付け、天日で干し、カビをおとす。
このカビ付けを2~3回おこなった物を言います。
カビの作用で乾燥・熟成が進むので(20%以下)
すっきりしてまろやかなコクのある味になります。
本枯節(ほんかれぶし)
カビ付け作業を4~5回位行った物をいいます。
鰹を捌いてから出来上がるまで半年以上かかる
とても大変なものです。
本枯節になると水分量は15%以下にまで下がります。
関東は枯節・本枯節のコクあるタイプが好みで
関西はあっさりした荒節(花がつお)で
出汁をとるのが好みのようです。
一般的に売られている鰹節はほとんどが
荒節を削って作られています。
その違いは製品の裏に書いてある
名称や原材料名を見ると分かるようになっています。
荒節を削った物
名称 「花かつお」「かつお削りぶし」
原材料名 「かつおのふし」
枯節・本枯節を削った物
名称 「かつお節削りぶし」「かつおかれぶし削りぶし」
今はかつお節からキチンと出汁を取る人は
少なくなっているそうです。
粉末やお湯を注ぐだけで作れてしまう製品が多く
朝の忙しい時はとても便利なのも良く分かります。
しかしそう言った物は
カツオエキスや化学調味料、食品添加物で
似た味に作られた物が多く出回っているわけで
本物のカツオ節から削った削りぶしではありません。
残念な事に
今の人は本物よりも作られた物の方が美味しいと
感じるようになってしまっているそうです。
カツオ節から出汁を取るのは少し面倒です。
でもそれも始めたばかりのほんの一時です。
慣れてしまってそれが普通になれば
大変とも面倒だ。とも思わなくなります。
お子様のためにも体のためにも
ちょっとだけがんばって
カツオ節から出汁を取ってみませんか?
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