秋頃になると蕎麦屋さんに貼り出される
「新蕎麦打ちはじめました」
これを見るとつい蕎麦屋に入ってしまう方も
いるかと思います。
では、「新蕎麦」とは何でしょうか?
新蕎麦とはその年に収穫した蕎麦の事です。
昔は秋に収穫する蕎麦の事をいいました。
秋に収穫するのでお店で出せるようになるのは
11月頃でした。
現在では「夏しん」「秋しん」と2回の新蕎麦があります。
違いは刈入れの時期です。
「夏しん」は夏に間に合うように刈入れされます。
お店に出るのは8月位です。
「秋しん」も最近は9月中~後半と
かなり早く出るものもあります。
昔からの新そばは秋に出るものを言います。
夏そばが出来たのは最近です。
私も1度だけ扱った事があります。
新そばは1年に1回で良いかな。と思ったので
1度で終わってしまいましたが(笑)
新蕎麦の良さって何でしょうか?
やはりまずは「新」とつく事が良いんだと思います。
日本人は新玉ねぎとか新じゃがとか初鰹とか
「新」や「初」と付く季節ものに弱いですから(笑)
次は色でしょうか?
最近は0℃保管や真空パックなど
そば粉屋さんの努力と保存技術の進歩で
1年中綺麗な色の蕎麦を扱えます。
でも昔はそうはいかなかったのでしょう。
そばは時間が経つと薄緑の抜き身は
茶色く変色して行きます。
そう言う意味でも新そばは綺麗な薄緑色をしているもの。
というイメージがあります。
そしてその綺麗な薄緑色に価値を感じているようです。
最後は味です。
蕎麦は時間が経つと、色も茶色く変化しますが
味も同時に落ちて行きます。
今のように保管・保存の技術が無かった昔は
味も落ちてしまっていました。
そうなると、新そばの味は新鮮で特別になります。
鮮度の良い魚を食べるように、そばも鮮度の良い方が
美味しいからです。
昔の人は新そばの美味しさに感激し
毎年の新そばを待ちわびていたのもうなずけます。
しかし、最近は新そばとそうでない物とで
それほど味に差は無いように思います。
色を重要視するあまりに早めに刈り取られたりもするので
味はイマイチ。と思っている方も多いのではないでしょうか?
実際に食べてみると、色からイメージ出来る様に
青臭い香りがし、それが良いと言う方もいますが
私はやり過ぎた物は好きではないです。
やり過ぎとは刈る時季が早過ぎると言うことです。
色もそこそこ青いですし青臭い香りが新そば!って
感じですが、味が薄すぎて美味しくないので(笑)
また、逆に新そばよりもう少し熟してから刈り取った
物の方が美味しいと言う方もいます。
味については好みがありますし、
私は両方に良さがあると思っていますが
新そばはやはり季節ものでありがたみがあって良いですよね。
適度な青臭い香りがするとなお良いです。
本音を言うと、何度も書いていますが
「新そば」と「ひねそば(新そばではない物)」の
差が無くなっていると思います。
それは、保管・保存の技術が上がったのと
蕎麦屋さんが変わってきたからだと思います。
それでも、季節感とかって大切だと思うので
毎年「新そば」の張り紙をして季節の蕎麦の楽しみを
お客様に提案していきたいです。
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