「種物(たねもの)」 とは、かけ蕎麦に具が乗ったり、
あんかけにしたりしたものです。
代表的なものには「天ぷら蕎麦」や
「かき玉蕎麦」があります。
天ぷら蕎麦はかけ蕎麦に海老の天ぷらが
入ったり、掻揚げが入ったりしたもので。
かき玉蕎麦はかけ蕎麦に卵をとじてあんかけに
したものです。
たねものは大正初期頃に始まったメニューで
肉南蛮などが始まりだそうです。
現在最も一般的な「天ぷら蕎麦」「天せいろ」
「天もり」「天ざる」はその後、戦後に出てきたようです。
現在は彩りや種類ごとの味の変化を楽しむために
色々と考えられている「たねもの」ですが
登場した当時は彩りや味ももちろんですが、
栄養バランスにおいて重要な役目を担っていました。
蕎麦の場合ビタミンや食物繊維、たんぱく質等
ではなく、脂質が不足していた為
脂肪分の補給が主な目的のひとつだったようです。
確かに豚肉を入れた「肉南蛮」
シイタケ、筍、かまぼこ、卵等が入った「おかめ蕎麦」
海老の天ぷらが入った 「天ぷら蕎麦」
鴨肉の入った 「鴨南蛮」など
どれも脂肪分が加えられ美味しいメニューとして
人気があります。
「天せいろ」「天ざる」などはたねものの
「天ぷら蕎麦」が夏になると暑くて注文が減るので
考え出されたようです。
「鴨汁」「鴨せいろ」「ごまつゆ」なども
たねものを夏場にも食べやすいように
考え出されたものなのでしょう。
夏場には暑いものを食べる人は減りますが
現在ではどのお店もエアコンがついているので
夏場にたねものを食べるのも面白いと思います。
実際、真夏の暑い日にカレー南蛮など
食べたら確実に汗が出てきそうなものを
注文するお客様もいらっしゃいます。
暑い日に暑いものを食べるのは
エアコンで冷えた体のためには良い事
なのかもしれません。
また最近は冷たいかけ蕎麦、
「冷かけも」登場しました。
食欲の減る夏場にもサラッと食べられる
ものが多いようです。
蕎麦はそれだけでも十分味があり
美味しいものです。
しかし、香りも味も繊細なものである事は
誰もが知っている事だとも思います。
「たねもの」は栄養学的に見ても蕎麦だけでは
脂肪分が不足しがちになります。
たまには「たねもの」を食べて栄養バランスを
取ると共に、蕎麦屋さんが料理として味付けし
自信を持って提供している味を楽しんで下さい!
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